2004-07-30
_ 顔
着替えずに徹夜するのは気持ち悪いので、一旦家に帰り、風呂と洗濯を済ませてきた。
研究室に戻る前に朝飯を食って行こうと、普段とは別の道をバイクで走っていると、車の流れが詰まっているところにでくわした。 前の車でよく見えなかったので、駐車場に入ろうとした車で詰まっているのだろうと考えていた。
しかし、前の車が動き、見えてきたのは、潰れた車と、小学生か中学生くらいの泣き叫ぶ少年だった。 少年は車の中に入ろうとしているのだが、それを大人が押し留めている。
流れが悪い上に、信号の直後でもあったため、かなりゆっくりと横を通り過ぎることになった。 ミニバンの側面に突込んだ、クラクションが鳴りっぱなしの小型車。 運転席と助手席のエアバッグが開いている。 ミニバンの後部座席のドアは、ひどく変形していた。
そして、その横には、地面に膝をつき、呆然としている中年の男性。
今、徹夜のまま運転している自分も、薄皮一枚隔てて、こんな世界に接しているのだと考えると、吐き気を覚えた。 あの男性の表情は、しばらく忘れられそうにない。